点群を機材ごとに比較|地上型レーザー・ドローン・iPhoneの違い

点群を機材ごとに比較|地上型レーザー・ドローン・iPhoneの違い
  • 同じ現場を4つの機材で計測し、点群の「色味」「密度」「位置と高さの差」を比べました。
  • 基準は地上型レーザースキャナー。高さはドローンとPIX4Dcatchが約2cm高め、iPhoneのLiDARが約1cm低めでした。
  • 機材の良し悪しではなく「それぞれの特徴」を知って、機材選びや現場での使い分けの参考にしてもらう記事です。

はじめに

こんにちは、ジョウ所長です!

ICT活用工事では「点群」を使う場面がとても多くなりました。ただ、点群を取る機材は本当にたくさんあって、「どれを買えばいいのか」「何が違うのか」は、使ってみないと分かりにくいところです。

そこで今回は、同じ現場を4つの機材で計測し、パソコンのソフトで見たときの違いを比べてみました。何が良い・何が悪いという話ではなく、「地上型レーザースキャナーを基準にすると、こんな感じなんや」と特徴をつかんでおくと、今後の設備投資や現場での使い分けに役立つと考えたからです。

なお、比べ方は私の目で見た主観が中心です。その点はご容赦ください。

比較に使った4つの機材(2024年8月時点)

計測はある現場で、2024年8月上旬に行いました。仕事で計測したデータの一部を抜き出して比べています。

  1. 地上型レーザースキャナー(TLS):ニコン・トリンブルのSX12。今回の比較の「基準」です。
  2. ドローン(UAV):DJIのPhantom 4 RTK。撮った写真をソフトで点群にしています。
  3. PIX4Dcatch:iPhoneのアプリ(Pix4D社)と、iPhoneに取り付ける受信機をセットにして計測する機材。RTK(衛星の位置情報をその場で補正して精度を上げる方式)で計測しました。
  4. iPhoneのLiDAR(光で距離を測るセンサー):無料アプリのScaniverse(スキャニバース)を、iPhone 14 Pro(2024年8月時点の機種)に入れて計測しました。

点群はどれも、福井コンピュータのTREND-POINTに取り込んで見比べています。iPhoneのデータは、事務所に戻ってからTREND-POINT上で3次元ヘルマート変換(目印の点を使って点群全体を現場の座標に合わせる計算)をかけています。

ちなみに当日は猛暑で、iPhoneで計測している最中に熱で止まってしまうこともありました。

比べ方:地上型レーザースキャナーを基準に3つの視点で

比べたのは次の3つです。

  • 色味(見た感じ)
  • 密度(点がどれだけ詰まっているか)
  • 位置と高さの差(左右の位置と、高さのずれ)

基準にした地上型レーザースキャナーのデータは、この現場で出来形(できあがりの形)の確認に使ったもので、出来形の色分け図(ヒートマップ)も良好でした。色味・密度・位置の精度とも問題がなかったので、これを物差しにしています。

地上型レーザースキャナーを基準に、色味・密度・位置と高さの差の3つの視点で比べました

【イメージ図】地上型レーザースキャナーを基準に、色味・密度・位置と高さの差の3つの視点で比べました

比較1:色味(見た感じ)

  • 地上型レーザースキャナー:色は薄めで、ねずみ色っぽく白みがかった印象です。真夏の計測だったので、白飛びしたのかもしれません。ドローンと比べると薄く感じますが、仕事にはまったく支障ありません。
  • ドローン:色はとても良いです。現場で私が目で見た色にいちばん近く、見やすいので点群の編集もしやすいと感じました。
  • PIX4Dcatch:こちらも見やすい色です。ほかと比べると少し赤が強めですが、問題ありません。歩いている私の影が映り込んでいる所がありました。
  • iPhoneのLiDAR:色は良好です。土の色なので、やや赤みが濃い感じはしますが、仕事上は問題ありません。ただし、後で書くとおり密度がやや粗いので、拡大すると少し見づらくなります。
機材ごとの点群の色味(左上から地上型レーザースキャナー・ドローン・PIX4Dcatch・iPhoneのLiDAR)。色味だけを見る画面で、拡大の具合は機材ごとに違います

【実際の画面】機材ごとの点群の色味(左上から地上型レーザースキャナー・ドローン・PIX4Dcatch・iPhoneのLiDAR)。色味だけを見る画面で、拡大の具合は機材ごとに違います

比較2:密度(点の詰まり具合)

  • 地上型レーザースキャナー:基本的には問題ありません。ただし、スキャナーから見て影になる所(目印の杭の裏側など)は点が取れず、薄くなります。逆に、何回も計測した真ん中あたり(対空標識=空から見えるように地面に置く目印 を置いた所)は点がぎっしり詰まります。計測の回数に比例して、密な所と粗い所の差が出る、ということですね。
  • ドローン:写真から点群にしているので、点の間隔がほぼ均一で、作業性も良いです。拡大すると少し粗く感じますが、写真から点群にするソフト(私はMetashapeを使っています)の設定で、もっと密にすることもできます。ただ、点が多すぎるとデータが重くなります。データの扱いやすさと中身のバランスが大事だと思います。
  • PIX4Dcatch:まったく問題なく、拡大してもきれいです。計測で向けた回数が多い所と少ない所で差は出ますが、これは計測の仕方なので仕方ないところです。良かったのは細かい所の表現で、落ちている枝や端の石ころ、目印の杭、バックホウのゴム製の履帯(キャタピラ)が踏んだ跡まで点群で表現できていました。現場を忠実に再現できていて、すばらしいと感じました。
  • iPhoneのLiDAR:全体で見るとまったく支障なく、きれいに取れています。拡大すると見づらくなり、「もう少し密度があれば」と思う所はあります。一部にずれや抜けも出ていますが、これは私の計測の仕方が悪かった気がします。それでも、レーザースキャナーやドローンほどの価格ではなく、個人でも買えるiPhoneにこのセンサーが入っている、という利便性と価格を考えると、とても良いと思います。
密度の違い。地上型レーザーの密な所と粗い所、PIX4Dcatchの目印の杭と履帯の跡、iPhoneのLiDARを拡大した所

【実際の画面】密度の違い。地上型レーザーの密な所と粗い所、PIX4Dcatchの目印の杭と履帯の跡、iPhoneのLiDARを拡大した所

比較3:位置と高さの差

左右の位置(XとY)

対空標識の真ん中に点群が来ているかを、地上型レーザースキャナーと切り替えながら見比べました。

  • ドローン:標識のほぼ真ん中に来ていて、まったく問題ありません。
  • PIX4Dcatch:こちらもほぼ真ん中で、精度はとても良いです。
  • iPhoneのLiDAR:精度が出ている標識もありましたが、ずれた標識では水平距離で約78mm(動画を撮る前に測ったときは81mm)、別の標識では約82mmの差が出ました。計測の仕方や、標識の位置が離れすぎていたこと、猛暑で熱による停止を気にしながら計測したことも影響したと考えています。私の感覚では、3次元ヘルマート変換をすると3〜4cm前後の差に収まることが多く、通常ここまでの差は出ないと思っています。
標識の真ん中に点群が来ているPIX4Dcatch(左)と、約78mmずれたiPhoneのLiDAR(右)

【実際の画面】標識の真ん中に点群が来ているPIX4Dcatch(左)と、約78mmずれたiPhoneのLiDAR(右)

高さ(Z)

地上型レーザースキャナーの点群に、ほかの点群を重ねて高さの差を見ました。

機材地上型レーザースキャナーとの高さの差
ドローン(Phantom 4 RTK)約25〜26mm 高い
PIX4Dcatch約20〜22mm 高い
iPhoneのLiDAR(Scaniverse)約10〜11mm 低い
断面で高さの差を見たところ。ドローンと地上型レーザースキャナー(左)、4つを重ねた断面(右)。右の白い数値(0.02・0.022m)はPIX4Dcatchと基準の差、赤い数値(0.011m)はiPhoneのLiDARと基準の差です

【実際の画面】断面で高さの差を見たところ。ドローンと地上型レーザースキャナー(左)、4つを重ねた断面(右)。右の白い数値(0.02・0.022m)はPIX4Dcatchと基準の差、赤い数値(0.011m)はiPhoneのLiDARと基準の差です

※画面は元の動画から切り出しています。画面の札の「UAV」はドローン、「TLS」は地上型レーザースキャナーのことです。

まとめると、地上型レーザースキャナーがだいたい真ん中にいて、ドローンとPIX4Dcatchが約2cm高め、iPhoneのLiDARが約1cm低め、という結果でした。いつもこうなるとは限りませんが、今回の条件ではこれだけの差が出た、ということは知っておいてもらえればと思います。

まとめ

  • 地上型レーザースキャナーを基準に、ドローン・PIX4Dcatch・iPhoneのLiDARの点群を「色味」「密度」「位置と高さの差」で比べました(2024年8月時点の機材)。
  • 色味はドローンが現場の見た目にいちばん近く、どの機材も仕事上は問題なし。
  • 密度はどれも実用上問題なし。PIX4Dcatchは細かい所の表現が良く、iPhoneは拡大すると粗さが見えます。
  • 高さは、ドローンとPIX4Dcatchが約2cm高め、iPhoneのLiDARが約1cm低め(今回の条件での結果)。

機材ごとの特徴を知っておくと、どの機材を買うか、現場でどう使い分けるかの判断材料になります。皆さんのICT活用の参考にしてもらえればうれしいです。

元の動画はこちら

この記事は、YouTubeの動画「点群っ!機材ごとに比較してみた!」(2024年8月18日公開)をもとにまとめました。画面で点群を切り替えながら見比べているので、違いは動画のほうが分かりやすいと思います。

この回は現在、YouTubeのメンバーシップ「ジョウ所長の現場相談室(デジタル顧問)」(月額990円)限定で公開しています。画面を見ながらのほうが分かりやすい部分も多いので、動画で見たい方はぜひメンバーシップへの参加をお願いします。

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