はじめに
きょうは土木工事における
「実行予算書の作り方!」
のお話をしていきます
公共事業及び民間事業かかわらず
土木工事の施工前に必ず作成する書類ですね
そのお話をする前にそもそも
「実行予算書」とはなんぞや?
のお話をすると
工事を施工する時
実際にかかるお金の計算をしておくことって内容になります
堅苦しく言うと
「予定利益(粗利)を算出すること」
ともいいます(笑)
めっちゃ簡単にいうと
「どれだけ儲かるねん」
ってことですね♪
実際会社は
工事を施工して利益(粗利)を出すことで
経営が成り立っています
この実行予算書を綿密に作成することは
施工計画書と同様に
非常に重要ということは
ご理解いただけると思います
そこで今回のお話は
「民間業者が公共工事を受注した目線」
の前提で
2つのテーマにわけてお話します
- 実行予算とは_基本編
- 実行予算_実践編
いやいやまって下さいよ
入札に使用した積算内容を
ベースに
作成すればよいのでは?
そこでぼくの回答はっ!
入札の時に行った積算は
公共工事として設定している
「標準歩掛」と「労務単価」
を掛け算して
その出てきた金額(直接工事費)に
必要経費を足したものになっています
なので実際に施工する時は
標準どおりの歩掛になるとは
かぎりませんよね?
施工方法や周辺道路状況など
色々な条件で実際の歩掛は変化します!
このように工種が同じであっても
実際の「歩掛」や「単価」が変化しますので
現場ごとの条件で
実行予算書の作成が必要になってきます
今回はその
実行予算の作り方をお話していきます^^
実行予算とは_基本編
まず最初に
実行予算書を作成する前に
基本的な内容をお話していきます
積み上げていく項目と
その意味を順番にお話していきます
項目は大きくわけて4つになります
- 直接工事費
- 共通仮設費
- 現場管理費
- 一般管理費
下記に
参考の実行予算書を
張り付けておきます↓
あくまでも参考ですよ(´ω`*)
以上の4つを1項目づつお話していきます^^
直接工事費
まず「直接工事費」からいきますね
これは言葉のとおり
実際に工事に必要な
お金を積上げているところになります
積み上げる内容は↓
- 材料費
- 労務費
- 機械器具費
- 外注費
以上の項目で積上げていきます
共通仮設費
つぎに「共通仮設費」にいきます
共通仮設費とは
工事に必要な仮設備の費用や設備を
積上げていきます
積み上げる主な費用は↓
測量費
実際の測量費用
測量機器リース費及び校正費等
仮設道路維持管理
散水車
敷鉄板等
水
現場事務所その他
ハウス、倉庫、コピーリース
レンタカー
ネット回線他ICT関連費
工事看板他の安全費
動力用水光熱費
雑費
周辺道路の維持管理
混載ゴミの運搬処理
現場事務所等用地の借地費
重機回送費他
地元対応費
説明会の会場費用
お祭り等のイベントへの費用
雑費
現場管理費
担当する現場職員等の経費
担当する現場職員の給与及び賞与
旅費交通費
福利厚生費
品質管理
生コン:スランプ、空気量、単位水量、破壊試験他
土質試験:現場密度試験、RI試験、平板載荷試験他
As舗装:密度試験、平坦性試験他
その他
特殊車両申請費他
一般管理費
労災保険
建退共証紙
履行保証
印紙代
その他保険
本社経費等
いやいやでもね
うちの会社の
実行予算書の内訳
と違いますよ!
ぼくの考えですが
ここでは実行予算書の基本的な
考えをお話しています
ベースになっているのは
入札時の積算内容と同じになります
そこで各社ごとに工夫しつつ
自分たちが
見やすくて利用しやすい実行予算書
にすることは大賛成です^^
なので
多少の違いはあってもOK
と考えています
ここでは
基本的な考えを見ていってください
実行予算_実践編
つぎに実際の予算作成手順にそって
要点をお話していきますね
実行予算の作成時
各項目ごとに解説しますね
直接工事費
材料単価
材料単価は、積算時の資料があっても材料見積を必ず再徴収してください
特に鉄筋(異型鋼棒)や鋼矢板、鋼管等の「鉄」関係の価格は要注意で確認です
この理由ですが鉄の価格は、搬入時期によってかなり変化するんですよね
つぎに購入土がある場合、土取り場の在庫と価格を確認してください
購入土の試験表(環境省_土壌分析結果及び最適含水比や最大乾燥密度など)を入手し使用可能かを確認してください
協力業者
型枠(大工)、鉄筋、足場等の職人の手配と価格(見積徴収)確認
「杭」「法面工」等の特殊工事業者の手配と価格確認
雑割石積工がある場合、現状石工は全国的にほぼいないに等しいです
根気よく職人を探すか思い切ってブロック積み等へ設計変更協議も視野にいれましょう
また階段工の型枠は、大工の手間が異常にかかるため「円/m2」で請けてくれない可能性が高いので常用単価も含めて検討及び積み上げましょう
施工
まず基本的に標準の工法で施工するか協議して変更する予定かある程度判断したうえで予算を組みます
大幅な変更が想定される場合は、標準工法でとりあえず予算を組みましょう
上↑のお話とかぶりますが
使用重機の大きさを想定しましょう
例えば「バックホウ0.7m3級か?またはバックホウ1.0m3級か?」などですね
基本は現場に搬入出可能であればできるだけ大きい重機をいれることが基本になります
まあもちろん例外はありますよ
残土及び埋戻し土の仮置場はあるかを確認しましょう
あるかないかで予算がまったく変わってきます
発注者指定場所があればOKですが
無い場合、土地を探し及び借地費が必要になってくるからです
材料置場及び鉄筋等の加工ヤードはあるかを確認しましょう
これも上↑と同じ理由ですね
型枠(大工)及び鉄筋、足場工に必要なクレーンは何日か?を算出して予算を組みましょう
クレーンの傭車費は工事全体を見るとかなりのウエイト締めます
実行予算作成時や見積徴収時に、業者さんの請負に入れてもらうやクレーン業者さんと1日単価契約ではなく月極契約や工事全体での契約などコスト削減に柔軟に対応できるように用意しておきつつ予算を組みましょう
As舗装_仮復旧ですが、下水道工事等の現道上の工事においては
設計で仮復旧工が計上されている場合が多いです
しかし実際は2~3倍の費用が必要になってきます
実際の施工は机上の歩掛どおりにいかない場合が多いんですよね
同じ場所を複数、仮復旧するからですね
ある程度の数量を見越した予算を組みましょう
周辺の道路環境
朝夕の渋滞が多いや
現場周辺は通学路か否か?
で残土搬出時の往復時間が変化します
積算の回数と実際の回数の差異発生するってことですね
回数の差異は、土量が2,000m3~3,000m3以上の時は原価にかなり影響を与えます
そのあたりまで踏まえた予算を組みましょう
試算の参考例を下記↓に書いておきますね^^
ICT関連
希望する重機及び機材が希望期間にリース可能かをまず確認しましょう
そもそも希望する重機がないと予算が組めませんからね
いまはICT活用が活発になってきていますが、ICT建機の数は豊富にありません。
どちらかというと不足気味です
またリース可能であっても費用は適切かどうかまで確認してください
その後に予算を組みましょう
共通仮設費
つぎに
現場事務所用地等の借地はできるか?を確認しましょう
最近は空き地もなくなってきており「用地が無い」がよくあります
用地が無い場合は賃貸物件を探すのですがその際の留意点として別途駐車場が必要になりますね
そうなると別途駐車場費の計上も必要になりますので要チェックです
また
重機や敷鉄板等の仮設物は自社保有でまかなえるか?
はたまたリースか?
この違いでも予算の組み方が変化しますので要チェックですね
現場管理費
つぎに現場管理費です
そもそもですが
現場監督は何人で管理するか?
自社技術者が不足の場合は外注(派遣等)を検討か?
通勤は可能か? 不可であれば宿舎が必要か?
このあたりの施工管理者の人件費は実行予算書の中でもかなりのウエイトを締めますので上司とよく相談の後に予算を組みましょう
また
場所打杭や橋梁等の重要構造物の場合の品質管理にかかる費用を別途計上しておきましょう
通常の構造物よりスランプや空気量、単位水量の試験回数は増の傾向になりますし
「土木工事請負必携」等に記載されている非破壊検査、微破壊検査等の施工中及び施工後に必要な検査費用を予算にきっちりと組み込んでおきましょう
一般管理費
労災保険等の費用は本社及び支店等の経理部へ都度確認してから予算に組み込んでください
また会社によっては「本社経費」を実行予算に別途計上するようです
これは上司に確認してくださいね
実行予算の実例
実際の実行予算を
組む時のやり方を実演してみますね^^
サンプルは
「土工-土砂等運搬残土処理」
を施工すると仮定しますね
設計は
「設定:運搬距離L=20km、DIDなし、10tD、
標準、積込みバックホウ0.7m3」
とします
積算(設計)は下記↓のとおりになります
ここで設計単価は
「2,430円/m3」になりました
上記の積算をもとに実行予算を組むと
実行予算は、「2,000円/m3」となります
粗利は、「430円/m3」となりますね
ここで注意点があります
- 有料道路を通行の際は、有料道路費用を追加してください
- 10tDの費用は繁忙期及び閑散期によって単価が上下する
この2点に留意して
予算を組むようにしましょう
おわりに
今回は
土木工事における
「実行予算の作り方!」
のお話をしてきました
基本に忠実に
僕の知っている箇所は深堀りをしました。
僕の未経験の現場では
もっと別視点での留意事項や別費用が
必要かもしれません
しかし
どこまでいっても
基本は設計図書の構造物築造等にあたり
実際にかかる費用を積み上げる
です
今回お話した基本内容を軸に
項目や内容を追加して
実際に利用しやすく利益のでる
実行予算書を組んで
施工をしてもらえれば嬉しいです
見事
実行予算書以上の利益が出ることを祈って
今回は終わります
ではまた次回のブログでお会いしましょう♪
ではでは