はじめに
土木工事全体の流れがイマイチ理解できないなぁ
と感じている若手の方や建設業に入職したばかりの人の不安や疑問に答えます。
内容は土木工事の「公告⇒入札⇒工事」の流れに沿った解説をしてします。それに追加ついて「工事部分の流れ」のみを深堀り解説しますので若手及び中堅の方にも有益なブログになっています。
✔本記事の内容
手順① 公告の流れ
手順② 入札の流れ
手順③ 工事の流れ_深堀り
以上の内容を解説していきます。
読者の方の中には
とは言ってもなぁ~
・土木工事は専門用語が多すぎてわからない
・勉強する項目が多すぎて何から手をつけてよいかわからない
・先輩や上司に質問したいが忙しそうで聞けない
・同期や後輩にもかっこ悪くて聞けない
と思う方もいるかと思います。
そこでこの記事を見るメリットは
・土木工事全体の流れが体系的に理解できる
・工事施工の部分も深堀りで解説するので、施工部分の流れを体系的に理解できる
・土木工事の中で「理解できていない」部分が明確になる
上記のメリットがあるので
今後、土木技術者として学んでいくべき内容が理解できます
土木工事の全体の流れ
今回記事のサンプルは公共事業で民間の工事業者目線の記事になっています
そもそもの前提の話ですが、
- 一般に工事が公表されることを「公告」といい
- その公告された内容について「うちはこの金額で工事します」って申請することを「入札」といい
- その入札後、落札できて実際に仕事することを「工事」といいます
では順番に「公告⇒入札⇒工事」の流れを解説していきます
①公告
公告はどこで知るの?
国土交通省、都道府県、市町村やNEXCO等の高速道路を管理している民間会社(実態はほぼ公共)などなどの各行政機関には工事業者向けのHPが開設されています
URL「国土交通省他」の入札情報サービス↓
https://www.i-ppi.jp/Search/Web/
都道府県の工事は、「入札情報サービス ○○県」とネット検索するとヒットしますので一度見てください
ネット検索とは別になりますが、各地方ごとに「建設新聞」が発刊されています。アナログ的にチェックしたいよという方は一度確認してみてください
公告の内容は?
公告の内容は、どのような内容が書いてあるかというと
- 「どこの発注者が」 例:国交省○○整備局○○河川国道事務所 や ○○県○○土木事務所など
- 「どんな工事」 例:一般土木工事(道路や河川) や 港湾工事 や 橋梁等の保全工事など
- 「どこで(場所)」 例:工事場所の所在地
- 「どの程度のランクで」 例:AランクやBランクなど
- 「どのような入札条件で」 別項目で解説
「どのような入札条件で」
- 公募型一般競争入札 :ほぼ総合評価方式で業者を決定
- 制限付き一般競争入札 :総合評価方式と価格の2つのどちらかの方式で業者を決定
- 指名競争入札 :価格のみで業者を決定
総合評価方式って?
総合評価方式とは、入札価格と会社評価及び配置予定技術者評価のトータル(総合)で落札者を決定する方式です。現在の公共事業のスタンダードになりつつあります。
以上の内容を検討しつつ、公告内容を各社で吟味検討して入札に参加するか否かを決めることになります。
いつ、どんなタイミングで出てくるの?
タイミングは運です(笑)
そんな言い方では勉強になりませんので、、、
4半期(3ヶ月)ごと及び年間の発注予定は各発注者から公表されています。
なのでマメにネットの入札情報をチェックしてください。
うちの会社はどのランクなの?参加できるの?
お勤めしている会社のランクは年間単位で決まっています。
不明な場合は、上司や取締役へ問い合わせしてみて下さい。
配置予定技術者の人の工事実績が必要になる場合もあります。
これも不明な場合は、上司や取締役へ問い合わせしてみて下さい
②入札
参加申し込みのやり方は
入札する会社(あなたの会社)の資料を作成します。
配置予定技術者の関連する資料をとりまとめます。
関連する資料とは、一級土木施工管理技士の資格証や監理技術者証のコピーを用意します。また工事実績のコピー、CPDSのコピーを用意します。
技術提案等があれば技術資料も工事ごとに作成します。
積算 のやり方は
積算のやり方を順番に解説していきます。
適用単価
各都道府県ごとに労務単価が決まっています。材料の単価は、さらに細分化していて概ね市町村単位で決まっています。詳細は発注者によっていろいろありますので、都度問い合わせを行ってください。
労務単価(令和3年度):https://www.mlit.go.jp/common/001387434.pdf
工種区分
道路改良工事、海岸工事などの種類がありますが、
土木工事積算基準より
上記は工種区分の抜粋です。この工種区分で経費率が変わってきます。
工種区分:https://agencysoft.co.jp/wp-content/uploads/2015/05/kousyu3.pdf
施工区域
市街地補正有りなし(DID地区)などがありますが、
土木工事積算基準より
上記は地域補正の抜粋です。この地域補正で経費率が変わってきます。
積算の項目は
- 直接工事費 : 実際の工事費用
- 共通仮設費 : 工事施工するのに必要な仮設費など
- 現場管理費 : 担当する現場監督さんの費用
- 一般管理費 : 落札した会社の本社等の費用
予定価格
予定価格とは、土木工事積算基準に沿って積み上げた価格のこと言います。100%満額とも言われるますね。
土木工事積算基準に記載がない工種は、発注者が三社見積を聴取し価格を決定しています。
この三者見積の価格が曲者なんです
この三者見積が出てくると、なかなか価格が的中しないんですよね、、、
一応価格決定のルールは存在するんですが、
三者見積のルールは、平均値をとる場合と最低価格を取る場合、発注者によって異なります。
また三者見積は実勢価格(実際に取引されている価格)であってメーカー等が言う定価ではないってことです。
この三者見積のルールと考え方と積算方法は別にコンテンツにする予定です。
最低制限価格
予定価格(100%満額)の概ね90~92%程度になっています。
これも発注者によってまちまちです。国土交通省は令和3年現在は「92%」になっていますが、市町村などは未対応のところが多いです。
92%の内訳は、
- 直接工事費 : 97%
- 共通仮設費 : 90%
- 現場管理費 : 90%
- 一般管理費 : 55%
以上の内訳になっています。
予定価格(100%満額)の各項目の金額に対して「%」を掛け算します。
積算はこの金額を当てにいく仕事です。
この金額より安いと失格します。しかし、この金額より高いと落札できる可能性が低下します。
この予定価格と積算価格が、なかなか合わないのです!
この問題が一番大!!!
ですよね
色々理由ありますが、最大要因は発注者側で積算しているのも人間です!!!
発注事務所単位や担当部署ごとに積み上げ方の「癖」は存在します
例として、ある事務所は掘削_障害物有り、別の事務所では掘削_障害物無し、と言う感じで差異があります。
その事務所単位での「癖」をいかに見抜くことができるか?
僕個人としては、そこが最大のポイントと考えています。
落札後にすること
契約
契約時に作成する書類は、
- 請負契約締結
- コリンズ登録:受注時の登録
- 再生資源利用の促進計画(再資源化):法令上、必ず必要
建退共
建退共証紙は、必ず「労務計画」を立案してから購入してください。
請負金額の率で証紙を買ってしまうと工事点数を下げられる要因になります。
工事費内訳書
工事費内訳書を提出する必要がありますが、契約上の拘束力はありません。
例えば安い単価で作成していても後に影響することはありません。
③工事(ここは深堀り)
公共事業における土木工事の流れについて
「着手前⇒施工時⇒検査時」
の順に解説していきますね。上の2つよりやや詳しく解説します。
それぞれの項目でいつも僕がおこなっていることを
ワンポイントアドバイスとして書いていきますね。
着手前
書類関係
まず着手前に作成する主要な書類とポイントは、
- 施工計画書:その工事の主要工種(一番金額が大きい)について深堀りして記述する
- 材料承認願:生コンは、水セメント比をチェック。セメントや骨材の産地までチェック。
- 施工体制台帳・施工体系図:健康保険・厚生年金・雇用保険の加入状況をチェック!また令和2年10月の法改正以降の工事は、「作業員名簿」の添付義務になったので注意!!!
- 設計照査:設計コンサルが作成した詳細設計が、設計図書に反映されているかチェック!また請負契約第18条の条件変更等の5項目のうちどれに該当する疑義か明記する。(発注者によっては第18条でない場合あり)
地元関係
つぎに地元対策の主要なポイントは、
- 地元説明会:説明資料は専門用語を使わずに説明する!
- 通学路の確認:現場周辺が通学路か否かチェック!
- 現場周辺の学校への周知:小中高以外に幼稚園保育園までチェック!
- 家屋調査:現場周辺に築年数が経過している家屋がないか!
こんな感じで地元対策しているが、苦情が多くて現場が進まないっ!!!
そんな時ありますよね、、、、
僕もめちゃめちゃ経験あります、、、、、
僕なりの追加対策は、
どこの地元でも頭1つ2つ抜けて苦情が言ってくる人が1人2人います
その様な人は、最初に挨拶した際、なんとなくわかるものです
私の対応策は、その人に好かれるぐらいにこっちから話かけていきます
1~2ヶ月程度たつと結構仲良しになり、不思議と他の苦情も減っていきます
話するのが嫌で、その人から逃げていると地元対策は未解決のまま工事を進めることになりますね
って感じです。
極論、苦情を言うかたは「話ことが大好き」な方なので、こうするしかないですね、、、、、、
労基等の対外関係
労働基準監督署へ提出する書類と各管理者へ提出する書類とポイントは、
- 特定元方事業開始報告他:労基へ提出する定番の書類
- 道路占用届・道路使用届:警察協議だけでなく道路管理者とも協議必要!
- 型枠支保工_支柱の高さ3.5m以上:使用する部材によって許容値が変化する
- 足場 高さが10m以上:使用する部材によって許容値が変化する
- 掘削高及び掘削深さが10m以上
- 道路管理者・河川管理者・架空物管理者:図面貸与、現場立会だけでなくできれば試掘をっ!道路、河川の他に、上下水、ガス、電気、電話、光ケーブル、ケーブルTVなど、障害物は多数!!!
- ・埋設物管理者との打合せ及び現地立会:必ず試掘をっ!
ここで意識してほしいのは、
- 支保工は自分で構造計算する
- 既設埋設物は必ず試掘して目視する
この2点になります。この2つ重要です。
現場
着手前の現場でのポイントは、
- 現地踏査:図面に記載がない箇所で気になる箇所はないか?
- 基準点測量:貸与資料に記載の基準点がすべて現地に存在するか?
社内
着手前の社内に向けて作成する書類のポイントは、
- 実行予算書の作成:粗利益の数値が大きい場合、必ず抜けている箇所がある
- 協力業者選定・契約:見積内容はどこまでの作業内容を含んでいるか確認
施工時
施工時については細かく書くといっぱいありすぎるのですが、ポイントのみを書いていきますね。
- 段階確認・立会願・材料確認:その日の現場作業は、段階確認する時間を含めて段取り
- 履行報告書:週休2日を確保できているか数値で記述する
- 週間工程表:工程に無理ムラがないかっ
- 追加分_施工計画書:該当の工種施工前に必ず提出
- 追加分_施工体制台帳・施工体系図:注文書、台帳、添付の見積書等に記載の日付に矛盾はないかっ、作業員名簿を添付しているか
- 建退共を毎月配布及び整理:配布と貼付記録に矛盾はないかここは検査で重点的にチェックの可能性大
- 出来形管理:施工計画書記載の社内規格値に入っているか、社内規格値の工程能力図が50%以内に入っているか、規格値50%以内、工事点数に影響大
- 品質管理(生コンやアスファルト他):規格値50%以内、工事点数に影響大
- 交通誘導警備日報:設計人数と実際人数との整合性はとれているか
検査時(中間及び竣工)
ここが最後の章になります^^
お疲れ様でした^^;
もう少しお付き合いください^^
- 数量計算書:小さな工種も漏らさず積み上げること、工事金額に直結、漏らさずに積み上げ
- 出来形成果表:規格値50%以内、工事点数に影響大
- 出来形図:図面で寸法表示箇所はすべて記入する
- 完成図:出来形図ベースで作成する
- 品質管理(生コンや鉄筋他):規格値50%以内、工事点数に影響大、鉄筋等のミルシートとタグの整合性
- 創意工夫:他社がやっていないことをする、作成する。金額が重要ではない。他社との差別化。
- 現場環境改善費:こちらは、どこでもあるような快適設備
創意工夫のところで少し追加の解説を、
いやいや、そんな事言っても他社がやっていないこと
なんか考えられないので、予算かけないと点数upできないよ!
もし他社がやっていないことは考えられない。
予算もない、、、、、っであれば!手数で勝負ですっ!!!
例:通常の創意工夫は3~5つ程度と思いますが、誰でもやっている創意工夫を20~30個計上する!!!など手数で他社との差別化を図ることで工事点数upを図りましょう
他社が他の人がやっていないことを積み上げていきましょう!!!
おわりに
ここまで読んでいただいた方、本当にありがとうございますm(_ _)m
ブログを初めて3記事目なので、画像が少なかったり文章が読みにくいところがあるかとは思います。
でも記事内容は、僕が25年かけて学んできた内容になっています。
読んでいただいた方の「チカラ」に必ずなれます。
同様の内容をYouTubeでもアップしております。https://youtu.be/MrfSVq3CdPU
気にいっていただければブックマークしていただき次回の記事も読んでいただければ嬉しいです。
ありがとうございました。